**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   286号 2013.1/25

 今号も本からの抜粋です。これは雑誌「暮らしの手帖」のシリーズ随筆「すてきなあなたに」の一話です。2012年に『すてきなあなたに〜より抜き集〜』として書籍になった中より抜粋させてもらいました。
 果樹の話しです。

抜粋始め

 友だち(東京の人)のところで、九州から送られてきた小粒のビワの種を三つもらった。6月のこと。すぐに庭の片隅に植えたら、しばらくたって芽が出て来た。そのうち元気のよいものを1本だけ残した。
 年とともに大きくなっていましたが、そのうちビワのことなど忘れていました。ある年の12月はじめ、ふと見ると5メートルほど伸びた木に白い花がいっぱいついており、寒い季節なのにミツバチが飛び交っていた。

 春になって気がつくと、葉の色とそっくりの緑の小さな実がたくさんついている。6月になると色付きはじめ、丸いビワが枝いっぱいになりました。
 私は7年前の美味しい小さなビワにまた会えたのでした。九州のビワとしか覚えていないビワが、東京で実ったのです。採って食べたら同じ味でした。
 自然の不思議さ素晴らしさ、そして過ぎ去った7年の歳月のことなど思っていたら涙が出て来ました。

抜粋終わり

 私たちは農業(1年草の栽培)文明に考え方まで染まっており、1年単位でしか物事を考えません。1年で成果が出なければ価値がないとするなら、ワンイヤールールで動くフロー経済の中で流され続け、定年になってみたら何も無かったということになります。勝海舟が「車引き 車をひきつつ 過ぎにけり」という句を残していますが、そういう寂しい人生になります。
 1年のリズムを無視することは出来ませんが、その中に10年のリズム、30年のリズム、100年のリズムも載せた人生を過すべきと思っています。

 私は10年後には採集園の中で暮らしたいと思って、今、実のなる木の苗作りをしています。2011年、種床に播いたマテバ椎とヤブ椿は今、ポット苗になっています。
 2012年の種(ドングリ)は、プランターに播いています。この年はスダ椎を神社で見つけましたので、これもプランターに播いています。上手くいけば5月頃には芽を出すでしょう。
 スダ椎は実が小さい(小さなピーナツの半分ぐらい)のが難点ですが、味はよく、生のままでおやつになるぐらいの甘さがあります。茹でるとコシヒカリのようなねっとり感がでますが、粥にするには甘過ぎるように思います。お菓子として利用するのが良いようです。

 今作っている苗は、5〜6年経った頃(4〜5メートルの高さ)に負荷を与えていくと、10年目ぐらいには実をつけるのではないかと思っています。自然のままに任せると15年〜20年後に実を付けます。実が遅く付くようになると木の寿命が長くなります。どのくらいの差が出るのか、私は結果を見る事はできないのですが・・・。見る事ができるのは3代先の人でしょう。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  286号 2013. 1/25