**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   251号 2009.12/10

 意外な組み合わせに興味があって、玉村豊男『邱永漢の予見力』(09年10月初版)という本を読みました。玉村豊男さんは、画家でありエッセイストであり、信州でワイナリーを経営している方です。この方が、土地の取得で苦労した話はメルマガで一度紹介したことがあります。
 邱永漢さん(85歳)のことは取り上げた記憶はないのですが、私自身は20代から100冊ぐらいの著書を読んでいます。一言では紹介しにくい方ですが、直木賞作家であり新ビジネスの立上げを趣味にしているような方です。すでに何百かの事業を手がけており、今は中国でいくつもの事業を行っています。過去30年ぐらいの発言から判断して経済の読みは正確です。

 その邱さんが、「会社が日本にある必要はない時代になった。お金が必要な人は、お金の流れる所(東南アジア、中国)に移動するしかない」と発言していました。同じことを、何年か前にトヨタの奥田会長が発言して(経団連の会長のとき)物議をかもし出したことがあります。それ以後、そのことは誰れも公には言わなくなったのですが、経済人は当然のことと考えています。
 したがって、お金の生活を望む人は、日本を出るスキルを身につけておくべきですし、外国で生活するのが嫌な方は、「癒しの郷」のような自給型共同体(小さな枠社会)での生活を考えておくべきです。
 邱さんは、「将来に備えてやるべきことは、グズグズしないですぐやることです」と言っています。また早ければ年内にも世界の株式市場はニューヨークと連動しなくなると言っています。アメリカは終わるということです。

 今号の話は、何かの前書きにしようと思って書いたものです。邱さんの話とリンクする内容です。

●●社会の変化に備えよう●●

1.暮らし方を変えないと生きられない

 公的な二つの統計資料から、若い方(30〜40代の方)の晩年の生活をシュミレーションしておきます。一つは、『人口問題研究所』が発表している「日本の将来推計人口」(中位推計)です。未来予測の中で、最も揺れの少ない推計といわれています。推計とは言うものの、ほとんどは確定事項だからです。例えば、15年後の生産年齢人口(15〜64歳の人口)というのは今0〜49歳の人口にほかならないからです。大量の移民を受け入れるか、大量の死者がでるか・・・・がなければそのままのスライド人口です。こういう意味で正確な推計資料といえます。

(人口統計グラフ)省略

 二つ目の統計資料は、『国民生活調査』の「高齢者の住まい方分布統計」です。これは人々の好みというより住居環境に深く関係していることですから、傾向が急に変わることはありません。したがって、10年、20年先の予測もわりと正確に行えます。

(高齢者の住まい方分布グラフ)省略

 まず、「高齢者の住まい方の分布統計」から読んで行きますが、1986年には高齢者の6割弱の方が子供といっしょに暮らしていました。それが、22年後の2008年には、4割弱にまで減少しています。
 この流れで見ると、今30〜40代の方が現役を退く頃には、子供といっしょに暮らせる方は3割程度でしょう。残りの7割の高齢者の方は、夫婦か独居老人として一人で暮らしていることになります。今の30〜40代の方が、三世代住宅を建てれば少しは変わるかもしれませんが、それは経済的にも難しいと思います。

 次に、その頃(2035年)の人口構成(現役者:高齢者)を「日本の将来推計人口」から見ると、「現役者:高齢者=1.6:1」になっています。今は、「3.3:1」ですから、高齢者を支える人口は半分になっています。これは社会保障(医療、福祉、年金)に大きな影響が出ます。
 年金については、計算上では今の60%程度に減額しなければならないと言われています。今でも、年金だけでは暮らせないと言われているのに、さらに減額されたらどうなるのでしょう。子供と暮らせる方は3割です。7割の方は今までとは全く別の暮らし方を考えなければならないでしょう。

 一つの対処方法は、人類が有史以来行ってきたグループを作っての相互扶助の暮らしに戻ることです。今のように家族単位で独立し、国家のサービスのみに頼って暮らす方法は、戦後の高度成長期に始まったもので、日本の歴史の中でも特殊な暮らし方です。今の暮らし方だと、国家のサービスが減少すると暮らせない人がたくさん生まれます。
 しかし、生活グループを作って相互扶助を行えば、国家のサービスが減少しても暮らせます。例えば、5万円の年金では一人暮らしはできませんが、10人集まって50万円の年金なら十分暮らせます。

 そして、一部の人にしろそういう暮らし方をする人が出た場合、5万円の年金では暮らせないと訴えても生活保護の対象ではならなくなります。どこかのグループに入れてもらいなさいという窓口指導になるでしょう。しかし、その時になって受け入れてくれるグループは少ないでしょうし、入れてくれた所があったとしても人間関係でつまずくと思います。一人暮らしをしていた人が、高齢になって何人かといっしょに暮らし始めたという話は聞きますが、たいがい元の一人暮らしに戻っています。急に共同生活などは出来ません。

 小冊子『別の宿を求めて』でも触れておきましたが、国家体制が弱体化するとグループ化は生活ノウハウの一つになりますから、若い人は十分研究しておくべきです。先の例は話を解りやすくするためのもので、実際には多世代でグループを構成しないと世代交代ができません。
 「日本の将来推計人口」から見ても、もう高度成長期に作られた人生の形は存在しません。ついでに言っておきますと、今30代以下の方の晩年は、「現役者:高齢者=1:1」の社会です。どんな事になるのか、私の想像を越えた世界です。該当する人たちで考えて下さい。

2.国家体制を保つ方法がない

 前述のような対処方法も、今の国家体制が続いての話です。国家体制がいつまで耐えられるのかも考えておく必要があります。
 今、政府の借金は国民一人当たり1千万円を越えています(国債、その他の借金、政府保証、地方債の合計)。これは子供も老人も一人としての計算で、勤労者一人当たりでいえば2千万円を越える借金になっています。とても返せる金額ではありません。
 しかし、国民の誰一人として国家サービスを止めろとか、増税して借金を少なくしろとは言いません。したがって、政府の借金は増える一方になりますから、いずれ破綻で終わるしかありません。こちらの方は2〜3年先のことかもしれません。

 歴史を見ると、政府の巨大な借金はたいがい大インフレ(桁が変わるほどの物価上昇)で集結しています。大インフレ(ハイパーインフレ)が起きると、政府の税収は桁違いで増加しますからそれまでの借金は無きに等しいものになります。しかし同時に、私たちの預金や年金も無きに等しいものになります。
 これは精算と考えるべきです。政府の借金は国民サービスになっており、その代金を払ったにすぎません。これで貸借のない振り出しの位置に戻ったことになります。

 しかし、それまで預金や年金で暮らしていた人にとっては、生活手段を奪われたことになります。かって共産主義国が崩壊したときの大インフレでも、年金生活者の救済方法はありませんでした。物価上昇にスライドさせると、その分だけ物価が上昇するので意味がないのです。

 幸に、共産主義国には特殊な市民農園制度があって(家付の農園で、ロシアでは「ダーチャ」と言う)、国民はそこに避難し自給の生活が出来たので餓死は避けられました。
 しかし日本には、そのような農園制度はありませんし、親が子世帯といっしょに暮らせるような住宅もないですから、大インフレが発生すれば年金生活者の多くが生きて行けなくなるでしょう。

 インフレの対処方法は、元共産国の実例からも言えるように、自然経済(自給経済)の中で暮らせるようにしておくことです。ただし、一人で自給活動は出来ないですから、ここでもグループ化は必要です。
 メルマガでは、「金要らぬようになるから、今の内に畑買うて皆で耕しなされ」『日月地神示』というフレーズを何回も使わせていただきました。

 続きは次回とします。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  251号 2009. 12/10