**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   205号 2006.8/5

 前号は少し視点を変えて、欧米社会で共同の暮らしが求められるようになった事情やコハウジング団地という方法論など紹介しました。
 また自給型の共同の暮らしでは、広い土地(山林や農地など)を所有するので、土地や道具の維持管理作業が大変な量になること、しかもその作業は収入にならないことなど説明しました。
 その説明の中で、オーストラリアのエコヴィレッジの中には敷地の管理が出来なくて、人の住めなくなった所もあるという話しを紹介しました。この話しは大変重要なテーマでもありますから、少し説明を加えておきます。

○ウーファーという低コスト労働を使う

 オーストラリアのエコヴィレッジは、財布を個人(家族)単位にしている所が多く、それぞれ都市に勤めに出て収入を得るというのが一般的なスタイルのようです。エコヴィレッジというのは、エコ思考の勤労者が集まって作ったエコ団地だと考えれば解りやすいでしょう。
 その勤労者(昼間はコミュニティにいない)グループが、どのようにして何ヘクタールという土地を管理しているのかというと、かなりの部分をウーファー(食事と宿泊場所を提供すれば労働作業をやってくれる人、日本では少ないですが欧米社会にはかなりの人数がいるようです)の労働力に頼っています。

 オーストラリアのウーファーに依存した生活システム、日本人には抵抗を感じる生活システムですが、単純に感情論で判断すべきものではないです。

 自給型の生活では、やろうと思えば1日中、365日休みなくするだけの作業量があります。計画的に出来る作業もあれば突発的な作業もあります。私もつい先日、農業用の給水管の修理をしたばかりです。すでに使われていないと思っていた給水管から突然水が吹き出したのです。近所に尋ねたら個人別の止水栓はないので、元栓を止めるからすぐに修理して欲しいと言うのです。待った無しですから、すぐに部材調達に走り次ぎの日に修理を終えることができました。平日のことです。このような予期せぬ作業もしばしばあります。

 このような作業を会社勤めをしながらというのは無理だろうと思います。私の近所は、どこも元農家なのですが、戦後世代が会社勤めをするようになってから、皆非農家になりました。今も多少の農地を持っていますが、水田は管理依託したり、作付けをせずに除草剤をまくだけの作業をしています。農家に育った人でも、会社勤めと農の両立は難しいようです。自給の生活なら農以外の作業も大量にあります。

 このようなことからも、自給型の生活で必要な現金を勤労(コミュニティの外に出る)で得るなら、ウーファーのような労働力が不可欠となると言えるのです。
 しかしこれも人間の考える生活スタイルの一つです。ギリシャ、ローマ文明は、奴隷によって支えられた文明です。その文明スタイルはヨーロッパ人のDNAに組み込まれており、黒人を下男下女として使うような生活スタイルがつい最近まで普通にありました。ウーファーを活用するというのも、本質的にはそういうスタイルの一つです。
 資本主義経済の豊かさも、開発途上国の奉仕(経済原理からくる強制奉仕)の上に支えられていますから、今は私たちも似たようなシステムを利用しています。

○ウーファーに依存しない自給型の生活

 日本は古代より奴隷を使わなかった国です。しかも江戸時代までは文明格差を利用した交易利益も使っていません(近代以降は文明格差、つまり安い賃金を追っかけて利益を出している)。
 そういう在り方で、一国を成立させて来た訳ですから、ウーファー(低コスト労働)を使わずに自給型の生活を成立させるノウハウは、日本にこそあるといってよいでしょう。例えば、江戸時代の村落共同体は、五公五民とか言われる高い税率の中で自給自立してきたわけですから、そのシステムを真似るだけでもウーファーに依存しない自給型の生活が作れるでしょう。詳しいことは機を改めて考えることにして、ここでは基本的なことを一つだけ取り上げておきます。

〈 労働力をコミュニティの外に出さない 〉

 出稼ぎ者が多いと、村(コミュニティ)が荒れると言われています。出稼ぎというのは、村の外にエネルギーを提供することであって、その代価で外の商品を買ったなら、個人は豊かになれても村(コミュニティ)が豊かになることはすくないのです。出稼ぎ中の消費活動は外で行われる訳ですから、村の商業は衰退します。また出稼ぎ中は村に労働力が無い訳ですから、山林は荒れ、畑は荒れ・・・ということになりやすいのです。

 自給型の共同体についても全く同じことが言えます。外に勤めに出ている間は共同体に労働力が無い訳ですが、生き物に餌を与えるようなわずかな作業も出来ません。前述の給水管の修理のような事も業者にお願いするしかありません。
 自給型の生活には大量の作業があるわけですから、外で収入を得る方向に走ると、ウーファーの労働力に依存するか、自給の生活ベースを荒らしてしまうかになります。

 現金の必要量は、業者サービスの利用量によって決まります。生活ベースを業者の手で作れば、その後の修理、改造も総べて業者に頼らざるをえなくなります。自分がタッチしていないこと、しかもプロの技術でやったことは、素人には手が付けられません。
 また業者(企業)の作った道具で生活を組み立てると、道具が壊れるたびに買い替えなければ生活が維持できなくなります。
 自給の生活とは、生活の総べてを自給することです。中途半端なことをすると身動きできなくなります。

・・・・内輪話ですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前回リアル「癒しの郷」の1年を紹介させて頂きましたが、併せて利用権出資の追加募集も受付けています。「癒しの郷」では いろいろな技術、ノウハウ獲得を目的とした方も募集しています。まだまだ開発途上なので今しか勉強できないことも多々あります。素人が少人数で建てる住宅の建築技術とか、田畑の開墾作業、自給生活の為の経済活動や、法人設立準備などなど。全く一から始めていますので、作業量も勉強量も半端ではないと思いますが、皆様の中で将来的に自給自立の生活を考えている方がいらっしゃれば良い機会だと思います。1年とか2年とか期間を定めて参加されても良いと思います。詳しいお問合せは メールでお尋ねください。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  205号 2006. 8/5