**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   192号 2005.11/5

〈 出資の公平が豊かさ、快適さを作る(1)〉

 現在、集団に秩序を作り出すにはルールが必要になっています。これは私たち一人一人が自我意識(パーソナリティ意識)という固有(個別)の価値基準で行動しているからです。
 しかしルールによって秩序を作り出すというのは、それぞれがブレーキをかけながら歩調を合わせるということであって、集団全体の出力(効率)を低下させます。
 したがって自然のエネルギー、自然の生産力の中で暮らそうとする自給型コミュニティにとって、ルールによる秩序作りは望ましいものではありません。豊かな生活が作れなくなります。また、ルールは制約ですから、ストレスを生み快適な生活も作りにくくなります。

 ルール無しで秩序を作り出すためには、自我意識ではなくグループ意識という共通意識を使う必要があります。
 あやしい話しではありません。人間集団を最大効率で活動させる方法論の話しです。コンピュータ的に言えば互換性のない個別ソフトを使って共同作業をするか、一つの共通ソフトを使って共同作業をするかという単純な話しです。

 問題はグループ意識なのですが、私たちが家庭(家族)を作っているとき、自然に家庭(家族)意識という共通意識(共通の価値基準)が生まれます。家庭(家族)という立場で判断する意識です。子供でも持ちます。お客さんが訪ねてくれば小学生の子供でも家族という立場で対応します。「こんにちは」ぐらいは言うでしょう。
 家族全員が家族意識にあるときは、事がスムーズに進み平和ですが、誰か一人でも自我意識に落ち込み、自分の立場から考え出すと言い争いやトラブルが多くなり、経済効率は下がります。
 この家庭(家族)意識と同じように、グループ意識も自然に生まれるものです。条件によって早い遅いはありますが・・・。そして、メンバー全員がグループ意識(コミュニティの立場に立った意識)で生活すれば、全体効率は良くなりますし、細かいルールは無くても平和で快適な生活になります。

 グループ意識を早く形成するためには、コミュニティの方向性、意志(アイデンティティ)を明確にする必要があります。これは発起人、リーダーの仕事です。そしてコミュニティに参加した人は、そういったものを積極的に理解する必要があります。こうすることでグループ意識は早く育って行きます。

 そしてその一方で自我意識を活発にさせない工夫も必要です。これについてはメルマガの古い号でキリスト教メノー派「アーミッシュ」の生活を紹介しましたが、彼らは肖像写真を撮らない、鏡を置かない、個人の趣味で部屋を飾らない・・・等、自我を刺激しない工夫をしていました。
 そういう一つとして新しくコミュニティを作って行く場合は、まず出資の公平を実現すべきでしょう。なぜなら自我は公平に対しては敏感で不公平を感じると途端に活発になるからです。最初のところで不公平を感じると自我は燻り続け、グループ意識にシフトしにくくなります。
 こういう意味でスタート期の出資の公平は重要なことと言えます。

 その出資ですが、これは幅広くコミュニティの貢献(エネルギー投入)という視点で捕らえるべきでしょう。
 一つの例ですが、有志が集まって建てるコ−ポラティブハウスの場合、現金出資(建物建設費)は完全な公平負担です。ところが生活を始めると思ったほどうまく行かないようです。生活に入ってからの共同作業など、積極的に貢献する人もいれば、そうでない人もいて次第に不満も出て来るようです。不満というのは不公平を感じたということです。このようなことは田舎の集落作業でもよくあります。

 生活上の奉仕作業も要はエネルギー投入であって自我は公平計算の対象にするということです。したがってこの部分でも公平になるようにしなければなりません。しかし、そのような事には能力差はつきものですから(高齢になると体力的にできない)、別の部分で調整できる仕組みが必要です。
 コ−ポラフィブハウスの場合、生活期の共同作業が出来ない人には建設時の現金負担の部分で割増し負担が選択出来る仕組みを作っておけば、そういう問題は少なくなるように思えます。算式を導きだすのは大変でしょうが。

 公平は長いスパンで考える必要があるといえるわけですが、自給型コミュニティの場合、コ−ポラテイブハウスよりは複雑なエネルギー投入になりますから、その分公平を作りやすいと言えます。
 「癒しの郷」では建設期、生活期のトータルで考え、出資方法も現金、労働、技術、アイデア、物品などの選択が可能になっています。そして、エネルギーの投入量は、株式数で換算する方法を取っています。既存システムと比べると公平の作りやすい仕組でしょう。これで公平感が作りだせれば、グループ意識にシフトしやすくなります。それは豊かさ、快適さにつながります。

 次回は現実にはマイナス出資もあるという話しをします。

・・・・内輪話ですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紅葉が美しい季節になってきました。もみじは真っ赤、イチョウは黄色でこの二つが揃っているととても美しく見えます。今までは気がつけばいつのまにか葉っぱが落ちている、という感じだったのですが、今年はリアル「癒しの郷」に通っているので山の木々の変化を楽しんでいます。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  192号 2005. 11/5