**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   152号 2004.9/25

 前号で最終号を書いておいたので、大変楽になりました。今号はは近況を少し報告します。
 先日、メンバーの方が、以前からお願いしていた「千歯こぎ」の刃を持って来てくれました。特殊鋼板をレーザーで歯にカットしたものです。パテントに関係することなので詳しくは説明できないのですが、さっそく近所の水田から収穫直前の稲を数本もらってきて(断わり無しにもらってきたのですが)、実験しました。とてもいい感触で感動ものでした。

 「千歯こぎ」で稲をしごくというのは、生まれて初めての体験だったのですが、イメージ通りでした。この刃(この字を使った方が適切なのです)に、私が取り合えず木製の台を作って、又、別のメンバーの所に送って、本格的(あまり本格的とも言えないですが)実験をしてもらうことになっています。
 私は、1〜2反ぐらいの水田なら、「足踏み脱殼機」より「千歯こぎ」の方がトータルで考えて効率的だと思っています。

 そして、これも先日の話しなのですが、4月に私が訪ねて行った人(メルマガでも紹介しましたが、山林を2haほど買って開墾から始めた60代の夫婦の方)から電話が入って、これは木工仕事の相談だったのですが、つい「千歯こぎ」の話しをしたら欲しそうな感じでした。
 それというのも、この方は以前から「足踏み脱殼機」を探していたらしいのです。そして、人づてに物件有りの連絡が来たものの、修理代を含めて13万円だと言われたので断ったと言っていました。その結果、刈り取った小麦の処理ができず腐らせてしまったと残念がっていました。

 農業雑誌の読者欄を見ると、毎月のように「足踏み脱殼機求む!」の声が出ています。手に入るのでしょうか。
 今、足踏み脱殼機を小ロットで作ろうとすると、1台数十万円になると思います。完全な図面があっての話しです。こんな金額になると、中古の小型コンバインが買えます。しかし、この方向に進んで行くと自給農業ではなくなって行きます。

 私は、「足踏み脱殼機」1台より「千歯こぎ」2〜3台の方が、作業は早いと思っています。ガランガランという音はしないですから、みんなで話をしながら楽しく作業ができます。
 人間が回転する道具を発明する前の社会は、大変静かな社会だったと思うのです。インカ文明は、車輪を使わなかった文明です。どういう理由からなのでしょう。壁画には車が描かれていますから、回転を知っていたはずなのです。しかし、都市は階段ばかりで車輪の使えない構造になっています。

 少し長い前置きになりましたが、落差の大きい経済シリーズの続きになります。今回は、中山間地域の社会がどういう経済で成り立っているかを説明します。農山村に生活ベースを作る上で、知っておくべきことだと思っています。おもしろいというか恐いというか、そんな話しになります。

9.中山間地域の小さな社会の経済

 以前メルマガで、ヨーロッパの農山村社会は自給型社会で、日本は交易型社会になっていると説明しました。「仁慶メモ」NO.16では、図解でお金の流れを示しておきました。交易社会というのは、何か強力な(独占的な)交易商品を持っており、それを地域外に売り、その売上利益で生活サービスを外の社会から買ってくるという社会です。
 したがって、地域内部には特定の交易商品を作る機能が在るだけで、生活用品、生活サービス提供する機能はほとんど持たない社会となります。

 中山間地域の社会は、かつては第一次産業(木材、薪炭、農作物など)を都市に売り、その利益で都市から生活サービスを買って帰るという経済になっていましたが、今も、別の商品で交易社会を続けています。地域内に生活サービスを作り出す機能を持っていないので、交易によって生きなければならないという宿命にあります(ヨーロッパ人は、2千〜3千人で自給自立社会を完結させます)。

 そして、今の交易商品は何かというと、大きな声では言いにくいのですが、自治体という権利組織です。自治体という権利で、国税の配分を受け、その配分を住民でシェアするといった社会になっています。

 この構図は、戦後の高度成長の中で、国内の生活環境を全国同水準にしようということで、税収の少ない所には国税を配分し(地方交付税制度、1957年に作られた)、インフラが十分でない地域には公共投資を行ってきたわけです。
 その方向性の中で、それを受け止める構造が発展して行き、商店の数より建設業者の数の方が多いといった社会になっていったのです。建設会社があれば、公共投資の下請が出き、地域の人は労働収入が得られるわけです。

 中山間地域の小さな社会の収支を、わかりやすいように表(損益計算書)にしますと以下のようになります。

<地域に入ってくるお金(地域収入)>
1.自治体の受け取る交付税・・・職員の給料、行政事業関連の企業の収入
2.公共工事・・・・・・・・・・建設会社の収入
3.年金・・・・・・・・・・・・高齢者の収入
4.民間事業者の経済活動
5.農林事業者の経済活動・・・・これの実質収入はゼロに近い
(重要な事は、地域収入の80〜90%が、1、2、3の収入によることです)

<地域から出て行くお金(地域支出)>
1.住民の生活消費・・・・・地域内に生活サービスの生産がないのですべて都市から買う
2.事業者の仕入、経費・・・地域内に必要なものがないので都市から買う

 上記の収支を、お金の流れとして見ると次のようになります。

住民の仕事収入(財政関連の事業所に勤めることで得られる)
  ↓
生活消費を行う(これによってお金は都市に流れる)
  ↓
都市企業、都市労働者の収入となる
  ↓
政府は国税(法人税、給与所得税)で回収
  ↓
地方交付税として配分
  ↓
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 以上の流れは一見安定しているように思えるわけすが、現実には、地方交付税は税収の配分ではなく、ほとんど国が借金をして渡しているものです。毎年の40兆円規模の借金ができなくなると半減します。ただしこの時は、国家財政の破綻に等しいですから、半減というよりはストップに近いことになるでしょうが・・・。

 そして、もう一つの問題はインフレです。先の80〜90%をしめる地域収入は、物価が2倍になっても増額されません。前年度に金額が決定してしまう仕組のものです。したがって、予算実行の段階で物価が上昇していると事業ができなくなります(工事などが出来なくなりお金が流れなくなる)。70年代のオイルショックの時、そのような事になりました。
 年金支給額もインフレには連動しません。このように、中山間地域の収入は、インフレに追従しにくいものばかりなのです。
 一方、消費支出は、インフレと一体ですから、もし大きなインフレが起きると収支バランスは崩れ大赤字になります。預貯金はどんどん目減りして行きます。そんな事が3年も続くと、みんな生活ができなくなります。社会崩壊が起きる可能性があります。

 そんな所に「癒しの郷」の生活ベースを作っていたらどうなるか、このことは次号で考えたいと思います。

・・・・内輪話ですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今年の米の作況指数が発表されていましたが、あんなに洪水やら日照りやら台風やらがあったのに、まずまずの出来だそうで、今年も御飯が食べられそうで安心しました。最近硬質米に凝っていて御飯を硬めに炊くので準備人その1には不評です。岡山では「朝日米」というお米が硬質米でこれを食べると、「こしひかり」などの軟質米はべちゃべちゃした感じがします。本当においしいお米が食べたい。これって我がままなのでしょうか。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  152号 2004. 9/25