**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   80号 2002.9/25

 前号で、中山間地域の従来システムは全部破綻するだろうと言いました。そういうことに触れたのは、私たちが農山村に生活基盤(経済基盤)を作って行く上で直接関係してくることだからです。重要な問題ですから、もう少し考えてみます。

<農山村の今の経済>

 数年前ぐらいまでは、地方移住の情報誌などは、農山村で現金収入を得る方法として、建設工事の仕事などを一番に上げており、そういう資格を持っていると有利といった解説がなされていたのですが、今はそういう仕事はなくなっています。地元の正社員でさえ解雇されているのが実状です。

 農山村の経済変化について少し説明しますと、58号でも触れましたが、日本の農山村はヨーロッパと違い交易型の社会であって、かつては木材、炭、木竹製品、農産物・・・などを移出していました。しかし、それらの商品は自由化の流れの中で、輸入商品に押され、地域経済の衰退が始まったのです。

 そこで政府は、地域経済をサポートするために公共工事(建設工事)を大量に行いました。これは国だけではなく、都道府県も地元自治体も予算を組みました。
 ところが、バブル経済の崩壊後、どこも財政事情が悪化して建設工事の予算が組めなくなりました。その結果、地元建設会社の仕事量が減り、地元の正社員でさえ解雇される事態になっているのです。
 今後しばらくは、建設工事が増えるような事はないでしょうから、そういう方面に現金収入を求める計画は立てられません。

 建設工事に変わる新しい仕事は、介護保険事業だといえます。農山村の高齢化率からいって、市場ニーズは十分あるのですが、今のところうまくいってはいないようです。
 この部分によいアイデアがあれば、農山村で現金収入を得る一つの柱となり、農山村だけに生活基盤を持つ自給型のコミュニティ(共同体)が成立するでしょう。
 今、介護保険事業で王手飛車取りのようなアイデアを持っているのですが(住民の保険料負担も助かり、自治体の介護保険会計も助かるものの、介護保険の運用面で自治体がこまりそうなアイデア)、これは一般公開したくないので、新しいサイトが出来たらし紹介したいと思っています。

 この機会に、公共工事の行く末を展望しておきますと、公共工事によってたくさん作られたインフラや施設は、地元自治体の予算で維持管理していくのですが(受益者負担の原則)、今やそれが難しくなっています。
 過疎の自治体の最大の財源は、地方交付税交付金なのですが、国家財政の悪化で年々削減されているからです。

 維持管理費を少なくする究極の方法は、費用のかかるものを壊していまうことです。前号で紹介した堺屋太一『平成30年』(フィクション形式の未来予測)では、2018年頃から、施設廃棄の陳情が始まると言っています。陳情を行うのは、国の予算(国税)を使って作ったものは、地元自治体が勝手に壊すことが出来ないからです。

 実は、このような事はすでに始まっています。今は、壊すところまではいっていないのですが、国のものを都道府県に、都道府県のものを地元自治体に、無償で譲るといった話しはたくさんあります。今の内にババを切っておこうしています。
 行政ではないですが、厚生年金事業団体が、全国にあるリゾート系施設「グリーンピア」を地元自治体に譲ろうとしている話などもその一つです。引き受けた自治体はないようですが・・・。

 今後は、自治体の小さな施設でもそういうことになるでしょうから、施設やスペースの活用能力を持っていれば、無償どころか持参金付きでいただけると思います。未利用の工業団地などもそういうことになるでしょう。みなさんも研究しておいて下さい。

 なお、譲られるとこまるのは道路です。しかし、道路さえ例外ではないでしよう。これは国土交通省の関係者の内輪の話しなのですが、国で管理できる道路はルートナンバーが1桁の道路までで、それ以外の国道は下位団体に譲ることになるだろうと。
 このようなことになると、すべては順送りとなり、市町村道は各集落管理ということになります。高度成長以前の時代に逆戻りです。
 しかし、この先人口は少なくなるのに、かつての何倍もの道路があるわけですから、大変な問題です。道路については一度考えておく必要がありますが、これは新しいサイトの中で触れたいと思います。

6・農山村に生活基盤を作る方法(2)

 農山村に生活基盤(経済基盤)を作るとき、農山村の従来のシステムの中に納まることはできません。従来のシステムの中に崩壊していく原因があるわけで、それに同調すると旅は道づれになってしまいます。農山村の新しい方向を予見して、その方向の中に生活基盤を作っていくことになります。自治体を越えた見識が必要です。

<中山間地域の方向性、新しい活用法から考える>

 中山間地域のインフラ量と人口を考えた時、すでに破綻しているといってよいと思います。問題が表面化していないのは、インフラがまだ新しく修繕期に入っていないからです(ほとんどのインフラは、過疎法の制定された70年以降に作られた)。
 今後、中山間地域が存続していくには、インフラ量に見合った人口(今の何倍もの人口)にするか、それが無理なら人口に応じた社会サイズに縮小するしかありません。

 これは工場などが、今の工場規模に応じた生産を行うか、それが難しいなら、今の生産量に見合った工場規模に縮小するか、どちらかの選択をしないとやっていけないのと同じことです。
 これが、今後の中山間地域の進む道です。政策として決定できるのかどうかはわかりませんが、成り行きの結果として、多くの自治体はどちらかに納まるでしょう。

 私たちが、農山村の生活基盤の場所を決定するとき、自治体の考え方は重要な判断要素となります。今後、中山間地域の納まり方が定まってくるとしても、その前に、何十かの自治体が消滅という犠牲を払うことになるからです(現実的には合併という形を取るでしょうが、事実上人の住めない所となります)
 それを見て全国の自治体が動き出すのです。消滅する自治体や周辺部切り捨てを決定する自治体に生活基盤を作ったのでは、将来が大変です。

 なお、中山間地域が新しい方向を決定するとき、地域の新しい在り方(活用法)を定めなければなりません。それなくして方向決定は行えないからです。
 私は、中山間地域は、自給型の生活をする人の社会にするしかないと思っています。(詳しい検証をしているのですが、長くなるので省略します)『癒しの郷』のような構想が自治体にヒントを与えることになるでしょう。時代の方が寄って来るのです。

 話しは飛びますが、今年の始め、「癒しの郷」の活動をNPO法人化するという目標をかかげたのですが、この頃になってやっと申請書類の下原稿を書いたりしています。

 NPO法人には12の活動分野があって、どれか一つに該当すればよいのですが、2〜3の分野のどれにしようか考えています。
 その中の一つに、「まちづくりの推進を図る団体」というのがあって、それ用に書いてみた「設立趣旨書」が今号のテーマと同じです。
 次回は、下原稿ですが、「設立趣旨書」の全文を紹介します。(本当は事例研究の予定だったのですが、機を改めます)


・・・・内輪話ですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お彼岸を過ぎてやっと秋らしくなってきました。涼しくなってきたのでそろそろ「癒しの郷」も動かさないといけないと、思うようになりました。NPOを立ち上げ、今までのメルマガを整理し、新しいサイトを作り、現物モデル地を探し・・・。数え上げればきりがないのですが、一つずつ前進していきます。応援を宜しく。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  80号 2002. 9/25