**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   45号 2001.10/15

○ 「癒しの郷」と土地(スペース)について(3)

 土地(スペース)を確保するに当たって、農山村物件の状況を説明しておきます。
 43号でお金で買えないのが農地であり、田舎の土地だと書きました。農地がお金で買えないのは、農地法の問題であって、これは別にしても、農地以外の土地(宅地、山林、原野など)もお金だけでは買えません。最大の理由はそういう土地が遊んでいても売り物件として市場に出ないからです。

 このことは、コミュニティ(共同体)の計画を立てる上でも重要な条件になりますから、参考までに市場に出ない理由を幾つか上げておきます。

1.農山村社会では、その土地から出て行っても(都市などに出て行っても)、すぐには氏子、檀家、講や結いグループの関係が切れず、相当の間(出ていった世代の人が動ける間)故郷との付合いが続き、帰った際、家を宿泊所として使うために屋敷が売り出せないという事があります。

 屋敷には、山林や畑、雑種地がつながっているのが普通で、屋敷が売りに出せない以上、そういう土地も売りに出せないということです(屋敷が売りに出ると、そういう土地も一緒に出る)

2.田舎では、相続が発生してもすぐに権利の整理をしないので、一つの物件(土地、建物)に何人もの法定相続人がいることになり、売りたくても売り物件にならないというケースもあります。
 権利者が何人もいる物件は、買い手が付いてから拒否者が出たりするので、不動産業者が扱いません。

3.隣地との境界確定が出来ていないので、売り物件にならないというケースも多いです。境界が確定出来ていない土地は、たいてい次ぎの世代まではどうにもなりません。

4.権利者とか、境界とかに全く問題がなくて、当人も売りたいと思っていても、田舎の場合、売却代金の使い道が公に説明出来ないと(家を建て替えるとか、子供を学校に行かせるとか)、要らぬ噂が立つので売りにくいということもあります。田舎では、借金を作ったらしいとかの噂が立ったりするのです。

5.土地値が安すぎて、不動産業者が扱わないという理由もあります。
 不動産業の仲介手数料は、6%+12万円(売り主、買い主が半分ずつ負担する)です。100万円の物件だと18万円の手数料です。この料金で何十キロメートルも離れた地権者のところに何回も行ったり来たり、お客が付けばまた何十キロも車で案内していたのでは、赤字になります。

 このようなことから、田舎物件は市場商品になりにくいという面がある訳です。

 逆にまともに市場に出て来ると、地元価格100万円の土地が200万円や、300万円という値段で出て来るのがしばしばです。これは元値が安いので、そこから販売費用を差し引くことが出来ないため、元値に販売費用を加算していく方式で販売価格を付けるからです。
 従って、販売価格と地権者の取り分にあまりの差があって、地権者と業者のトラブルもよくあるようです。

 田舎物件が市場に出ない理由を上げていくとキリがないので以上に留めておきます。
 岡山県にある田舎物件を専門に扱っている不動産業者の話しですが、売り物件として出せるのは、200件当たって1件ぐらいの率だと言っていました。199件は、遊んでいても先のような理由から売りには出ないということです。

 コミュニティ(共同体)を計画するに当たっては、土地(スペース)確保について多様な方法を想定しておく必要があるということです。借りるという方法も想定すべきでしょう。
 借りるということなら、200件の内半分ぐらいはOKかもしれないのです。
 但し、借りるというのは絶対的な信用があってのことですから、そういう面でもコミュニティ(共同体)の法人化とか、地域にメリットのある仕事(事業)を行うとかは重要な条件になってきます。
 「癒しの郷」のモデルプランとして、福祉系の事業を想定したのもそういうことからです。

 自治体の協力を得る方法も考えていますので、これはまたあらためて紹介します。

 話しが長くなりましたので、「不動産広告」を事例にして考える話は次回とします。


・・・・内輪話しですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
窓を開けていると、稲刈りのコンバインの音や、子供会の子供みこしが練り歩いている音が聞こえてきます。夜になると虫の声も聞こえ音にも秋を感じるようになりました。

**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  45号 2001. 10/15