**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   27号 2001.5/5

 今回もちょっと退屈な準備人のプロフィールです。書くのが恥ずかしくなるような体験しかしていませんが、しばらくお付合い下さい。

○ 準備人その1の農業体験

 私は、瀬戸内海沿岸の平野部の農村で育ちました。平野部といっても小さな山(古い昔は島であった)がいくつもある地形です。子供が歩いて行ける距離に、大きな川と海があります。

 但し、私の家は例外的に農家ではなく、父親は化学工場の設備工事をする自営業者でした。

 私の農業体験は、中学生の頃までです。その頃までは本家の農地を借りて自家消費分を作っていました。
 機械化農業の前の時代、1960年頃の農業ですし、小規模でしたから全て手作業による農業です。

 一通りの作業は経験しました。米、麦、土地柄でい草(畳み表の原材料)も植えたことがあります。
 い草は、稲刈りの終わった後、もう一度田を耕して田植えと同じ方式でい草の苗を植えます。12月頃、水の入った水田に入るので大変寒い作業です。刈り取りは暑い夏に行います。

 野菜類も一通り育てた記憶があります。変わったところでは、さとうきびも植えていました。これは子供のおやつ用なのですが、何度か砂糖にした事があります。近くに業者がいて、さとうきびを持って行くと黒砂糖にしてくれるのです。

 畑には、果樹も植えていました。みかん、桃、葡萄、ビワ、柿、サクランボ、アンズ・・・など。桃や葡萄には、青い実が少し大きくなった頃、袋をかけます。この袋は昔は新聞紙を切って糊で貼って作っていました。葡萄の場合は、底の抜けたスカートのような袋を作りました。

 家畜としては、ヤギとニワトリを飼っていました。ニワトリの餌は米ぬかにニワトリの好む緑の草、貝殻を細かく砕いたものを混ぜて与えていました。緑色の草が欠乏すると卵の黄身が薄くなり、また貝殻(カルシウム)が欠乏すると卵の殻がもろくなります。さらに欠乏すると柔らかい殻になっていました。
 貝殻は、シジミやアサリの汁を作ったときのものを細かく砕きます。その貝は、人間の食用として近くの川や海で取ったものです。これは川遊びをする子供の仕事でした。なお、鶏糞は畑の肥料にします。

 私の知っている農業は、今で言うところの有機農業や、パーマカルチャーに近いものです。機械を使う近代農業の体験はありません。ずっと後になって近くで行なっているのを他人事として見ているだけです。

 農業については、全く知らないとも言えるのですが、1960年頃の農業は、投下エネルギー(カロリー)に対し、4倍の穀物エネルギーが収穫出来ていましたので、本来の生産業としての農業を体験していると言えます。今の大型機械を使う近代農業は、投下エネルギーに対しそれと同じか、場合によってはそれ以下のエネルギーしか回収出来ませんから、今の農業はエネルギー消費産業というべきものです。

 温室栽培の野菜などは、投下エネルギーの何分の1しか収穫出来ていません。本来なら儲かるはずがないのですが、付加価値を付けることで成立させています。農産物という名のファッション産業を行っていると言えます。当事者レベルでは、事業として成立しているのですが、地球レベルで考えれば、膨大なエネルギー浪費となっています。

 今は、農業とは縁が無くなって、何を何時植えるかといったことなど忘れてしまっているのですが、自給型コミュニティ(共同体)の全体デザインをする分には問題無いだろうと思っています。但し、瀬戸内の農業しか体験していないので、寒冷地のプランは描ききれません。

 なお、私は未体験なのですが、自給型の暮らしにおいては自然農方が理想だと思っています。その理由の一つに、自給型の生活では日々やるべき事が多くて、農業に手間をかけていられない面があるからです。

 しかし、農業は土地と一体のものであり、事前に方法を決めてかかるものではありません。様々な方法を知っておいて、後はその土地に合った方法を取って行くしかないでしょう。

 今私は、やぶ化した農地を元に戻す方法の一つとして、ヤギを使うべきか、ブタを使うべきか・・・といったことなどを考えています。


・・・・内輪話しですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日は子供の日です。柏餅とかちまきが店先で売られていますが、全て輸入品で賄われているそうです。柏餅の葉っぱなど子供の頃は畑の隅にある木からちぎってきていました。子供の頃嫌だった青臭い葉っぱの匂いが最近は妙に懐かしくなります。準備人の農業体験を書きましたが、ちょっと昔の子供なら自家消費分の野菜などを家族で作っていたと思います。今は輸入制限云々と騒いでいますが、技術や運輸の進歩で外国の野菜までもが食卓にのぼるようになり、生産しない消費者には安い野菜は有り難いです。しかし一部の生産者保護に輸入制限をし、今後数年前の米不足のような状態になった時に、外国は寛大に野菜やら食糧を輸出してくれるのでしょうか。自給体制が整っていないだけに、とても不安です。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  27号 2001. 5/5