**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   21号 2001.3/5

●「癒しの郷」の理想の暮らし方 パート2

 「理想の暮らし方」の概念をとらえることは、コミュニティ(共同体)の生活を考える上での原点でもありますから、前回とは違う方向からもう一度考えてみます。

 ストレスというのは、「自分が自分で無くなった時」に感じる負荷です。そういう方向に行ってはならないという内なるサインでもあります。

 今の時代は、自分が自分で在り続けることが大変難しい時代ですが、これは完全自立という生き方を目指さなかったからだといって良いでしょう。
 誰からお金を貰って、そのお金で生活の全てを支えているという暮らし方だと、常にお金を出す側の意向に沿わねばならない訳ですから、自分が自分で在り続けることは、元々不可能なのです。

 今日のストレスというのは、暮らし方の問題、人生観の問題といっても良い訳です。
 自分が自分で在り続けると思えば、少なくとも衣食住を現物で調達出来る力が必要ということになります。そういう方向を目指しつつ現金経済に身を置く生き方もあったのではないかと思うのです。
 前回紹介した自然農法の福岡正信氏などは、自給自足の生活をしながら、請われるままに世界を回り、国連で農業問題を論じ・・・という生活をしている訳です。

 ただし今となっては、自給自足の生活をしながら現金経済の中でも活動するという生活は、大変難しいものになっています。それは、国家の作り方がそうなっていないからです。農地一つにしても、自給自足の為の農地は農地法によって買えないことになっています。
 また、税金や公的保険料など皆現金納付になっていますから、現金を稼がなければ生きて行けないような制度になっています。自給的な生活に入ろうとすれば、今日の社会制度がことごとく枷となってきます。

 しかし、ここで止まっていたのでは、自分が自分で在り続ける生き方(ストレスのない生活)には、入っていけません。
 そのような枷を乗り越えていく一つの方法は、グループを作って食糧作りや現金稼ぎを手分けして行う方法です。何十人分かの食糧を作ることは自給ではなく営業ということになりますから、合法的に農地を買うことも出来ます。仕事分担は適当にチェンジすれば良い訳です。

 実際に、このようなスタイルを取っている例がアメリカにありました。これは「インディアンの大予言」(扶桑社)という本で知ったのですが、ワシントン州に「ベアドライブ」という共同体があり、そこの運営スタイルは都市で現金を稼ぎ、農村で食糧を作っているそうです。
 また、この共同体は「ワールドファイアー」という雑誌を発行しており、共同体のネットワーク作りを行っているということです。(アメリカでは専門雑誌が成立するくらいコミュニティ指向があるということです。)

 都市と農村の生活をセットにするというスタイルは、トマスモアの「ユートピア」で説かれていた方式です。確か、ユトピア国では、すべての国民は2年以上の農業生活が義務付けられていて、都市と農村を循環する暮らし方になっていたと思います。
 農村の生活は、何十人かが単位となった共同体生活です。都市は家族単位ですが十数人ぐらいが単位で、人数の少ない家は他から子供を預かって育てる制度になっていたと思います。

 遥か昔「ユートピア」を読んだ時は、荒唐無稽の空想物語りと思っていたのですが、最近は非常にすぐれた提言書だと思っています。
 あのような内容のものが何百年も消えることなく残っているということは、人間の琴線に触れる何かがあるからだと言えるでしょう。

《 補足 》
 数年前までは「癒しの郷」の形態を前述の「ベアドライブ」のように都市と農山村の活動をセットで考えていました。
 しかしその後、インターネットが普及したので「笠地蔵」のような生活が農山村を出なくても出来るようになったこと。
 また介護保険の実施により、過疎地域であっても現金収入が得られる道が開けたことなどから、この度の計画は意識統一がしやすいように、メンバー全員が1ケ所で活動出来る方法を基本に考えています。

 しかし、それに固守している訳でもありません。都市にも生活の拠点が有れば経済活動には有利ですし、高校生などはそこから学校に通うということも可能になります。また、買い物や通院などの中間基地としても使え、大変便利です。
 都市部の土地や建物を安価で提供してくれる人がいれば、そういう形態のコミュニティ(共同体)にすることも考えて良いと思っています。


・・・・内輪話ですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昔話では寒い冬に囲炉裏端でせっせと笠を編んで、雪深い中を町まで売りにいき、一日中かかっても売り切る事は出来ない。しかし、現代は寒い囲炉裏端で笠を編んでも、インターネットでショップを開けば、家にいながらにして商売が出来る。良い時代になりました。その反面、雪に埋もれたお地蔵さんに笠を被せてあげるような素朴な見返りを求めない人情が無くなっているように思います。「癒しの郷」では、便利なモノを利用しても、見返りを求めない人情みあふれる集団を作って行きたいと思います。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  21号 2001. 3/5