**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**   20号 2001.2/25

●「癒しの郷」の理想の暮らし方 パート1

 今日の不安やストレスの原因の一つは、家族が小さくなったことにあると最初に指摘しました。非日常的な出来事を受け止める許容能力(キャパシティ)が小さくなってしまったということです。核家族では、一人病気にでもなればパニック状態になります。

 これは相互扶助の関係にあるメンバーが少なすぎるということですから、北欧で始まったコレクティブハウス(小家族が集まっての半共同住宅による半共同生活)などは、キャパシティを大きくする有力な方法と言えます。

 しかしさらに見ていくと、今日の不安やストレスの根底には、生存レベル(衣食住のレベル)で自立出来ていないということがあります。
 お金で衣食住を調達する暮らし方になった為に、生きている間中お金を稼ぎ続けなければならないということがあります。走っていなければ倒れる、飛んでいなければ落ちる、と言う訳です。

 お金で総てが処理出来ると言う生活は便利であり、捨てがたい魅力がありますが、衣食住のレベルで自立出来ていないという絶対的な不安がつきまとう生活でもあると言えます。これは、コレクティブハウスでは解決出来ません。

 1970年頃から欧米社会でたくさんのコミュニティ(共同体)が作られるようになりましたが、彼等の目的は単に相互扶助のグループを作ることではなく、衣食住の自立に有ると言えます。
 それは、農業をベースにしたコミュニティ(共同体)が大半であることからも言えます。
 また、農業を行うことが目的で無い事も確かです。それは、これまでに何度か紹介したイタリアのダマンヌールという共同体の在り方を見ると、その考え方が良く解ります。

 ダマンヌールをスタートさせたのは、工芸家や芸術家のグループです。今の考え方から言えば、それぞれ作品作りに専念して、その販売収入で生活材を買った方が遥かに効率的ということになるのですが、彼等はそういう方向には進まず、スタートした時から衣食住の自給体制を作り続けてきました。そして今、エネルギーまでを含めた自給体制を整えています。

 ダマンヌールのように生存レベル(衣食住のレベル)で自立してしまえば、そこから先の経済活動は全く自由になります。生活材を手に入れる為にしたくもない仕事をする必要は無くなります。
 結局、衣食住のレベルで自立することが地球を浄化していく一番の早道だとも言える訳です。一人では難しいですが、何十人かがグループになれば、可能です。

 「癒しの郷」もそのようなコミュニティ(共同体)を目指したいと考えています。

 次ぎに生存レベル(衣食住のレベル)で自立するのにどのくらいの労力が必要かということについて考えてみます。

 まず究極の状態を紹介しておきます。これは、自然農法を確立した福岡正信氏が実践しており、繰り返し本にも書いていることですが、衣食住の確保に必要な労働は1年に10日でよいということです。
 この人の作り上げた農法は、耕さず、肥料はやらず、草は取らず、農薬はやらずという何もしない農法です。そして、収穫量は世界一だと言っています。

 この方の農法によれば、2アール(60坪)の水田で150キロの米が取れ、空地で育った野菜(野菜は四季を通じ自生状態になっているとのこと)、時折川で捕った魚介類を加えると食は十分で、これに必要な日数は年間数日と言っています。
 次に、衣住とエネルギー確保の為の植林10アール(300坪)。木の成長力は年に1〜2トンで、この時価は約3万円でこれで衣料をまかない、住宅は間伐材で十分で、雑木を1日切ればこれで1年間のエネルギーは賄えると言う事です。

 山の作業も含め年間10日も働けば暮らせ、後の350日は遊んで暮らせば良いと言っています。働かねば暮らせないというのは、人間の錯覚であると。

 衣食住の自立について、いきなり福岡氏のようには出来ませんが、グループである程度の時間をかければ十分可能でしょう。

〈 補足 〉 福岡正信氏のこと
 福岡正信氏は、大正2年生まれ、愛媛県伊予市に在住。
1988年、アジアのノーベル賞と言われるマグサイサ賞を受賞。

 著書に「無1 神の革命」「無2 無の哲学」「無3 自然農法」「自然に還る」「わら一本の革命」「自然に生きる」などがあります。この中で、「わら一本の革命」は手に入れやすい本だと思います。この本は11ヵ国語に訳されて世界中で読まれているそうです。

 しかし、日本では殆ど知られていない方です。アジアでは預言者と言われているそうです。「無1」「無2」を読むとこの人は覚醒した方(悟りを得た人)だということが解ります。
 日本ではこういう人の扱い方が解らないようです。このことが知られていない理由なのでしょうが、私は今まで通り知られていない方がよいと思っています。
 著書がたくさん有りますので、いつの時代であろうと、解る人が見れば、すぐ解るでしょう。


・・・・内輪話ですみません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
準備人その1は、福岡正信氏の哲学的思想にかなり感銘を受けていて、信奉者と言っても過言ではありません。一般的に言えば単なる著書の愛読者かもしれません。しかし、「癒しの郷」が実現すればそこで自然農法を試みることは間違いありません。今すぐにでもやりたい気持ちはあるのですが、回りは草1本無い畑や田んぼです。そういう場所で福岡氏の農法をするには、周りからの理解が得られません。しかし、そういう環境の中でも頑張っている方の話しを聞きますが、なかなか凡人に出来ることではありません。


**コミュニティ「癒しの郷」を創ろう**  20号 2001. 2/25